大人になるとあごの成長は完全に終了し、多くの場合、上下の歯のかみ合わせは安定した状態となっています。しかし、むし歯、歯周病(歯ぐきの病気)、顎関節症(あごの病気)や全身の病気など、かみ合わせの不正以外の他の病気にかかっている場合もあります。そのため、歯やあごを弱らせないように注意が必要だったり、医師や他分野の歯科専門医などと連携して治療したりすることもあります。
また、社会生活を送るうえで、人と接する機会は多くなり、職業、生活などにより、目立たない装置でしか治療できない、転勤や、就職などのため、治療期間を短くしたりする必要があるなど、さまざまな治療の制約が生じることも特徴です。
成人の場合、上下のあごの位置や歯の健康状態などが人によって大きく異なります。そのため、かみ合わせの不正具合や他の病気の治療状況などの専門的な検査を行ったうえで、治療方法を選択する必要があります(場合によっては矯正歯科以外の専門医と連携して治療することもあります)。加えて、社会生活を送るうえでの環境(目立たないようにする、費用を抑える、期間を短くするなど)を配慮して治療に用いる装置を患者さんと相談の上、選択して行きます。
当院では、初診相談を受診していただくことで、様々な治療方法の提案が可能です。患者さんとご相談して、適した方法を選択し、治療を行います。
もっとも一般的な矯正装置で、歯の表面に付けるブラケットと細いワイヤーを用いて歯を動かす装置です。歯に着けるブラケットやワイヤーには様々な種類があるため、目立ちにくい装置など、色々なご希望に添う形で組み合わせて治療を行うことができます。
マルチブラケット装置の中でも、歯の裏側に装置を着けるものです。表側からは装置は見えないため、矯正治療をしているのが他の人にわかりにくくなっています。表側の装置よりも、むし歯になりにくいこと、治療の適応範囲が広く、マウスピース型矯正装置(インビザライン:完成物薬機法対象外)などでは治療できないかみ合わせでも治療が可能なことが特長です。
従来の矯正治療では、上下のかみ合わせのずれが大きかったり、前歯がかなり前に出ている場合などでは、時として在宅時に帽子のような装置をかぶり、歯と帽子をゴムで引っ張ったりすることが必要でした。このような装置は、見た目に大きく影響するため、心理的、社会的負担が生じることが問題となっていました。歯科矯正用アンカスクリューは、奥歯の周りの歯ぐきに「ミニスクリュー」と呼ばれるピアスくらいの大きさの小さな装置を装着することで、従来の装置の代わりに治療が可能で、目立たずに、負担が少ないことが特長です。
一般的に「マウスピース矯正」と呼ばれる治療装置で、取り外しが可能な透明なマウスピースを用いて治療を行います。透明で目立ちにくいこと、いつでも装置を外せること、痛みが少ないこと、通院間隔が長いため、留学や受験などの影響を受けにくいこと、違和感が少なく、しゃべったりしやすいこと、むし歯になりにくいことなど、ワイヤーを使う矯正には無い、さまざまなメリットがあります。